| 研究課題 |
「中央アジアにおける共属意識とイスラムに関する歴史的研究」 |
| 研究期間 |
平成11年〜13年 |
| 研究代表者 |
新免 康(中央大学) |
| 研究分担者 |
- 濱田 正美 (神戸大学)
- 梅村 坦 (中央大学)
- 堀川 徹 (京都外国語大学)
- 小松 久男 (東京大学大学)
- 宇山 智彦 (北海道大学スラブ研究センター)
- 帯谷 知可 (国立民族学博物館・地域研究企画交流センター)
- 大石 真一郎 (神戸大学)
- 川本正知 (奈良産業大学)
- リズワン・アブリミティ (立命館アジア太平洋大学)
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| プロジェクトの概要 |
1.背景
中央アジア地域は、現在、旧ソ連の各民族共和国と中国という国家的枠組に分断されているが、イスラムとトルコ系言語という社会・文化面における共通の基盤を持つ。とくに注目されるのが、近年、イスラムの復興や民族文化の強調といった現象が顕著に見られることである。しかし、当地域の文化的共通性に着目しつつ、ムスリムの意識、民族意識、国家・地域・「部族」・宗教組織等への帰属意識が、どのような歴史的変容を辿りつつ現在の状況に至ったのか、ということを明らかにするための研究作業は従来なされてこなかった。
2.目的
そこで本研究は、前近代から現状へと至る中央アジアのムスリム諸集団における共属意識の歴史的な変容過程を、とくにイスラムとの関連性を軸に解明することを目的とする。その際、現行の民族区分の成立と定着、近代化による社会・文化変動、ソ連・中国という国家への編入によって生じた諸状況、ソ連解体という近年の劇的な変化を視野に置く。また、方法面においては、現地における一次史料の調査・研究と、聞き取り調査などの実地調査との結合を目指したい。
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実施された海外調査
(1999年) |
1.宇山 智彦、島田 志津夫
- 日程:1999年8月2日(月)〜9月5日(日)
- 訪問先
- アゼルバイジャン(バクー、グバ・スムガイト)
- カザフスタン(アルマトゥ、トルキスタン・シュムケント、タラズ)
- ウズベキスタン(タシュケント、アンディジャン・ナマンガン・コーカンド、ブハラ、サマルカンド・シャフリサブズ)
- 現地での主な活動
- 各地のモスク、宗教局、マドラサ、シナゴーグなどを訪問。イスラームをはじめとする宗教信仰・実践の多様な姿を、「公式」イスラームと「非公式」イスラームの違い、国や町による違い、政治との関わりに留意して調査を行った。
- 各国での歴史・政治・宗教研究の状況を調べ、また博物館を訪問して、研究や展示に反映される(またそれらが作り出す)現地の人々の共属意識・宗教意識に関する調査を行った。
- 今回の現地調査の成果として、以下の論文・報告を行った。
- 「ウズベク・イスラーム運動の源流と過激化:その内政的・国際的背景」(「中央アジアにおける国際関係とイスラーム」シンポジウムにおける発表, 2000年2月5日(土)13:30〜18:00,
於東京大学文学部アネックス2階大会議室 )
- 「中央アジアにおけるイスラーム信仰の多様性と過激派の出現」(『ロシア研究』第30号,
2000年4月)
2.王建新
- 日程:1999年8月29日(日)〜9月22日(水)
- 訪問先
- ウズベキスタン(タシュケント、サマルカンド)
- カザフスタン(アルマトゥ、ジャンブル州タラズ郡ジャルパク村(旧称ドンガノフカ)、ジャンブル州コルダイ郡マセンチ村・ショトルベ村
- キルギズスタン(ベシュケク、トクマク郡周辺)
- 現地での主な活動
- 村役所や村レベルの小中学校への見学、学校の教師、画家及び民間の作家たちに対するインタビューを行った。
3.大石真一郎
- 日程:1999年8月29日(日)〜9月24日(金)
- 訪問先
- タシュケント(ウズベキスタン)
- ウズベキスタン科学アカデミー東洋学研究所
- ウズベキスタン中央国立古文書館
- アルマトゥ(カザフスタン)
- カザフスタン共和国戦略研究所
- カザフスタン科学アカデミー中央図書館
- カザフスタン中央国立古文書館
- スルタン・コルガン地区(ウイグル人居住区)
- 現地での主な活動
- ウズベキスタン、カザフスタンにおける東トルキスタン近現代史関連文献の調査。特に1920年代〜50年代のウイグル語出版物(主に教科書類)、1910年代のトルキスタンの定期刊行物の文献調査を中心に行った。
4.新免康
- 日程:1999年8月29日(日)〜9月24日(金)
- 訪問先
- タシュケント(ウズベキスタン)
- ウズベキスタン科学アカデミー東洋学研究所
- ウズベキスタン中央国立古文書館
- アルマトゥ(カザフスタン)
- カザフスタン共和国戦略研究所
- カザフスタン科学アカデミー中央図書館
- カザフスタン中央国立古文書館
- スルタン・コルガン地区(ウイグル人居住区)
- 現地での主な活動
- ロシア帝国期の東トルキスタン関連チャガタイ語文書の調査。特にロシア帝国期文書のフォンド・ナンバー21「クルジャ事件に関するセミレチエ州軍事総督府,1852〜1895」の中のチャガタイ語文書の調査を中心に行った。
5.堀川徹、磯貝 健一、河原 弥生
- 日程:1999年8月6日(金)〜9月17日(金)
- 訪問先
- イスタンブル(トルコ)
- アルマトゥ(カザフスタン)
- タシュケント(ウズベキスタン)
- ヒヴァ(ウズベキスタン)
- イチャンカラ博物館
- ホラズム・マームン・アカデミー
- 日本大使館
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現地での主な活動
- イスタンブル・アルマトゥ・タシュケントにおける関係文献・史料の収集
- ヒヴァ・イチャンカラ博物館における文献・古文書調査
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本年度(平成12年)の
研究実施計画 |
1.海外調査
昨年度のウズベキスタン及びカザフスタンにおける調査を継続・進展させると共に、中国・新疆のウイグル人居住地域をも新たにフィールドとして設定する。
(1)ウズベキスタン
- 文献調査:タシュケントの科学アカデミー東洋学研究所、ウズベキスタン国立中央文書館、およびヒヴァの歴史博物館で、前近代およびソ連期のウズベク人のムスリム社会、神秘主義教団の様態等に関する文書史料・写本史料の調査・研究を実施。特に昨年度からの継続性を考慮しつつ、現地の研究者との共同研究体制をとる。
- 実地調査:現状における各レベルの宗教組織の実態、およびソ連期における歴史的な状況に関する聞き取り調査を、すでに当該分野において研究の蓄積を持つ現地研究者のサポートを受けながら、フェルガーナ地区を中心に実施。
(2)カザフスタン:昨年度に引き続き、カザフスタンのウイグル人社会に焦点を当てる。
- 文献調査:ウイグル人社会が辿った歴史過程に関する基礎的な文書史料を、カザフスタン中央古文書館において調査・収集。ウイグル語新聞資料の収集にも従事。
- 実地調査:アルマトゥ市内のウイグル人集中居住地区で、コミュニティの外観、成り立ち、内部システム等に関する基礎データを収集、ソ連期および独立後の歴史的な経験について聞き取り調査。教育・文化状況に重点を置く。
(3)中国・新疆
- 文献調査:民間レベルに保存されているイスラーム関連資料の調査・収集を行う。
- 実地調査:ホタン地区のウイグル人農村部に置いて、ムスリム・コミュニティの具体的なあり方を調査。中華人民共和国成立善から現在までのコミュニティの歴史的変動に関する記憶、ムスリム意識の様態について聞き取りを実施。
2.国内における研究
(1)調査実施後、収集した聞き取り調査データの整理、文書史料の研究などの作業に従事する。
(2)年度後半に研究分担者・協力者、および関係分野の研究社を含めた研究会議を開催する。とくにウズベキスタン、カザフスタン、中国・新疆の状況の比較検討を行い、調査研究成果の統合化をはかる。
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